⾼⾎圧は、⽇本では4,300万⼈というもっとも患者数の多い⽣活習慣病です。脳卒中、⼼臓病、腎臓病などを予防する上で⾎圧は⾮常に重要です。⾼⾎圧とは何か、どうして怖いのか、予防と治療について必要な知識などを数回に分けて、わかりやすく、解説していきます。
⾎圧には、(1)病院・クリニックなどで測る診察時⾎圧、(2)⾃宅で⾃分で測る家庭⾎圧、(3)15分~1時間ごとに1⽇かけて⾎圧を測る24時間⾎圧の3つがあります。
⽇本⾼⾎圧学会のガイドラインが2019年に新しくなり、従来の⽬標より厳しくなりました。
加齢や⻑期間の⾎圧上昇に伴い、⼤動脈の弾性が失われることで、収縮期⾎圧の上昇と脈圧(収縮期⾎圧と拡張期⾎圧の差)が⼤きくなります。
これにより、脳へは⾎栓や微⼩梗塞、⼤動脈へは⼤動脈壁の⻲裂、⼼臓へは⼼筋肥⼤、⼼筋酸素不⾜をきたすと⾔われています。
⾼齢者では⾎圧の変動が⼤きく、⽩⾐⾼⾎圧、仮⾯⾼⾎圧(診察時⾎圧は正常、家庭⾎圧は⾼値)の頻度が⾼い。家庭⾎圧を含めた複数回の⾎圧測定で⾎圧レベルを評価します。 ⾎圧変動に対する⾃律神経の調節機能が低下していることで様々な症状、疾患が起こります。
2021年9⽉に新しい作⽤機序の降圧薬「エンレスト」が発売されました。
ネプリライシン(NEP)とレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を同時に阻害する新規作⽤機序を有する薬剤です。
従来からよく使⽤されている ARB(AT1 受容体阻害薬)はアンギオテンシンⅡによって引き起こされる⾎管収縮、体液貯留、交感神経活性が抑制され、降圧効果を⽰します。さらにNEPを阻害することで、ナトリウム利尿ペプチドの作⽤が増⼤し、⾎管拡張、利尿、尿中ナトリウム排泄、交感神経系抑制、⼼肥⼤抑制及び線維化抑制などの多⾯的な作⽤があります。
「エンレスト」は世界115カ国以上で承認されており、国内においても慢性⼼不全を効能及び効果として2020年6⽉に承認されています。
難治性⾼⾎圧にも有⽤であるという報告や24時間降圧効果が持続するなどの効果が期待できる薬剤です。